ホストクラブ業界の「見せ方」が、ここ数年で大きく変わりつつあります。
今回は「ナンバー」や「役職」、「売上表現」に関する掲載禁止の流れと、その背景や影響、そして今後の見通しについて、私自身の視点から整理してみました。
ホストの広告宣伝に規制「〇億円プレイヤー」「指名数No.1」「覇者」「神」→全部ダメです、警察庁通達
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かつては街の看板や公式サイトを彩っていた「ナンバー(順位)」や「役職」、「●●円プレイヤー」といった派手な表現。いま、それらを前面に出すことができなくなってきています。目的は明快で、“女の子(お客様)を過剰に煽る”見せ方を抑えるため。誇示や競争心を煽る広告が、規制の対象となったのです。
「推さなければ」「一位にしなければ」。ナンバーや称号は、そんな心理的圧力をお客様に与え、結果として過度な消費を助長する要因でした。
派手な広告やHPでの「億プレイヤー」「ナンバー1」表示は、メディアや世論からも“風俗的な誇示”として注目を集めました。こうした背景から、業界全体に規制と自粛の流れが広がっているのです。
この15年ほどで、歌舞伎町をはじめとするエリアでは「千万円プレイヤー」「億プレイヤー」が珍しくないという空気が生まれました。音楽を流す宣伝トラックや、豪華な看板──街中での露出は、まさにその象徴でした。
「1,000万円プレイヤー」とは、月間の総売上が1,000万円を超えたホストを指します。ここでの“売上”は税やタックス前の金額。特に高額ボトル一本が、あっという間に数字を押し上げるのが実態です。
ホストクラブでは“年功序列”ではなく“売上序列”。売上に応じて「主任」「支配人」「代表」といった役職が与えられ、責任も権限も増していきます。ナンバー(順位)は客の呼び込みやブランディングに直結するため、単なる数字以上の意味を持っていました。
HPや看板から数字が消えても、店内の序列はそのまま。営業現場では「あと○○円で昇格」といった煽りが依然として存在します。
つまり、規制は“外向け”にしか効いていない。競争や煽りの文化そのものは残っているため、実効性を疑問視する声も少なくありません。
行政の意図は理解できても、文化そのものを消すのは難しい。パチンコがなくならないのと同じように、需要がある限りホストクラブも存続します。むしろ「見せ方」を変えただけで、別の形のプロモーションや暗黙のルールが生まれているのが現実です。
今回の規制は、表面的には意味があります。けれど実態を変えなければ、本当の改革にはならない。 ホストクラブは消えません。だからこそ「誇示」から「信頼」へと価値基準がシフトしていく時代が、いま始まっているのかもしれません。
ここで大切なのは、ホストクラブを悪と決めつけるのではなく、あくまで適度に遊ぶ娯楽として捉えることです。 本来は「お金が余っている人が気軽に楽しむ場所」であって、お金を作るために仕事を変えてまで通う場所ではありません。
実際に、「昔ホストにハマっていたけど、今は幸せ」という女の子に出会ったことはほとんどありません。 なぜなら、ホストも人間であり、いつかは「引退」「別の仕事」といった人生の転機が必ず訪れるからです。その時、お客様はもう必要とされなくなるのです。だからこそ、その現実を理解したうえで楽しむことが大切です。
一方で、ホスト遊びを通して「仕事を頑張れる」と前向きなエネルギーに変えている女の子も多く存在します。特に夜職で働く女性にとって、その支えは時に必要不可欠なもの。性風俗の世界で彼女たちが果たしている役割は、社会的にも決して小さくありません。もしその存在が減れば、性犯罪の増加といったリスクすら考えられるのです。
そう考えると、ホストクラブはなくならないし、なくしてはいけない文化なのかもしれません。 だからこそ、これからの時代は「お金」だけではなく、どう遊ぶか、どう自分を守るか──その意識を持つことが、女の子たちにとって一番大切になっていくはずです。